1956(昭和31年)/6/28公開 94分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2290
配給:東映 製作:東映
頃は維新前夜。佐幕か勤皇か、動乱の嵐に揺れる幕府代官の暴政に忍従の堰を切った天領地の農民たちが、無双の豪弓を誇る一人の猟師の熱情に駆られて一揆を起こす。
シラーの戯曲「ウィリアム・テル」を題材に、名匠・内田吐夢監督と片岡千恵蔵が贈る一大スペクタクル映画。延べ10万人のエキストラを動員した群集の激闘シーンは圧巻。
幕末動乱の時代。勤皇・佐幕の対立激化は、この平和だった江州の天領地にも押し寄せ始めていた。新たに赴任してきた代官・脇群太夫は、衰退する幕府財政の為に苛酷な取立てを始めた。天領地に隣接する野沢藩の領主・右亮介は、勤皇派に加担しようと考えるも幕府に動きを察知されることを恐れ、天領地で勤皇に志する神官平田信胤の息子・辰馬を通して、自分の娘・美鈴姫を京に送り、朝廷に苦衷を知らせようとした。脇の取立ては日ごとに苛酷さを増し、領民の怨嗟は強くなるばかり。辰馬の連れてきた勤皇の志士・乾文五郎は領民の若者と密かに計画を練り始める。猟師の照造・次郎父子は辰馬と美鈴姫の脱出を助けて山道を案内した帰り、かつて狩りでの出来事が原因で照造を憎悪していた脇と遭遇。だが照造の不審な行動を何故か脇は冷たく笑って見放した。やがて守護職の名代・板倉帯刀の命により、天領地に砦を構築することになり、他領への出入りが禁じられた。領民に益々重圧がかけられ、そして脇の矛先は遂に照造父子に向けられた。次郎の一寸した行動を幕府への反抗とでっち上げ、許しを請う照造に、次郎の頭の上に乗せた柿の実を射れという無理難題を課したのだ。照造は柿の実を射ることに成功するが、脇は約束を破り照造を捕らえてしまう。砦の構築を急ぐため、重労働を強制する脇は、更なる奸計で信胤や辰馬たちを追い詰めていくのだが…。