1959(昭和34年)/10/7公開 92分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11382
配給:東映 製作:東映
名画「米」のロケ地に再びカメラを向けて、農漁村に生きぬく若人の美しい愛情と、逞しい生活を、山村聡のメガホンで高らかに謳いあげる感動の名篇。
鹿島灘は、沖の会社船に魚の群れを抑えられ、僅かばかりの蛤や鰯しか取れない貧しい漁港だ。早場米の時期になると、大挙して刈入れの出稼ぎに向かうのが長い間の習慣だった。そして、今年もその季節がやってきた。若い男女は楽しい年中行事の一つとして、笑顔で出稼ぎに向かう。バスの中には、東京で職にあぶれ、鹿島に帰ってきた幸吉の姿もあった。怠け者として評判は良くなかったが、鹿島一番の純情娘・静子は幸吉が好きだったのだ。水田地帯の西代に到着して、それぞれの農家に分かれていく若者達。幸吉と静子たちは村一番の豪農である水田宋右衛門の家で働くことになった。だが宋右衛門一家は農地相続をめぐるいざこざの真っ只中。そんな兄弟げんかの絶えない家族の中で、古希地は一番下の妹・邦子に興味を抱いた。唇を奪おうとする幸吉、だがその首に煙草の火をつけ、笑う邦子…。そして、年に一度の水神様のお祭りの日。幸吉は大道商人の口上を手伝ったことで、村のヤクザから袋叩きにあってしまう。傷だらけの幸吉を介抱したのは、東京での夢破れて村に舞い戻ってきたみゆきだった。二人は一夜を共にするが、翌朝みゆきは断崖から身を投げた。衝撃を受けた幸吉は、宋右衛門の家から姿を消してしまう…。