作品検索

作品紹介

東から来た流れ者

1960(昭和35年)/6/29公開  モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11781 
配給:東映 製作:東映

無法地帯ヨコハマを舞台に、兄を失った弟が青春を復讐に賭けて単身暗黒街に乗り込み、兄を殺害したボスに挑戦する姿を描いたスリルとサスペンスに富んだ痛快アクションドラマ。

NO IMAGE

ストーリー

外国航路貨物船のタラップから降りたった谷村丈次という青年は、一年前、何者かに殺害された兄・一郎の死因を突き止め、その復讐を胸に秘めて日本へ帰って来たのだ。丈次は、ふとした事から知り合ったハマの花屋の娘・秋子の家に下宿する。ある日、丈次は、ヨットの操縦を誤った原田画伯とミサという女を海中から助けた。ミサは、クラブ「黄金海岸」のマダムだった。ミサに案内された店には、麻薬売人の今泉など怪しげな男たちがたむろしており、丈次は、そこでマッハの千吉など与太者たちに喧嘩を売られた。泥酔した丈次が眼をさました時、彼はミサのベッドに寝かされていた。ミサは、丈次が亡き恋人の弟だと知り愕然とする。兄を殺害した相手とミサの店に何かつながりを感じた丈次は、ミサの紹介で贋ドル密輸の手先となろうとした。こうした丈次の周囲に絶えず危険が続く。ある時は不意にクレーンが頭上めがけて落下し、千吉の拳銃がいつも彼を狙っていた。丈次は、一刻も早く復讐の相手を探さなければ自分が殺されると思ったが、何故自分の命が狙われるのだろうか?丈次はミサを訪ね、兄を殺害した相手を詰問した。丈次は既にミサが兄の恋人であった事を知っていたがミサは何も語らず、丈次にボスに会わせるとだけ言った。だが、丈次を迎えたのは殺し屋・カーネーションの竜の拳銃だった。秋子の不安な眼に送られて竜の自動車に乗せられた丈次。二人は、怒濤うち寄せる断崖で相対した。「ボスは誰だ」丈次の鉄拳と竜の拳銃、激しく肉弾が相打つその時、丈次の背後に原田画伯が現れた。「ボスは私だ」丈次の度胸と腕力に目をつけた原田は、自分の輩下に丈次を望み、誘われるままに丈次は原田に従った。丈次は一味の秘密を必死に嗅ぎ出そうとする。贋ダイヤモンドの密売に失敗した千吉を殺すよう原田から命じられた止むなく千吉を追う丈次、その背後にはカーネーションの竜が二人の殺害を狙って続く。丈次は、千吉に逃亡をすすめた。千吉は妻と乳呑児をかかえて、丈次の情に泣いた。だがこの時、一発の銃声と共に、ピタリと赤ん坊の泣き声が止んだ。千吉の手には、我が子の鮮血がにじんでいた。「坊や、坊や」と狂ったように叫ぶ千吉とその妻、竜が素早く姿を消した。その頃クラブ「黄金海岸」では、丈次を愛する秋子が安否を気づかってミサを訪ねていた。そこへ帰ってきた丈次に、ミサは、原田こそ一郎の仇だと告げた。この時、竜の銃口が再び光る。だが、一瞬早く竜の背中にナイフが飛んだ。わが子の復讐に一味を寝返った千吉である。丈次は兄の復讐に燃えて原田の待つ第三ドックヘ向った。ミサは丈次の危急を今泉にすがった。今泉は決意の色をみせた。彼の手には警察手帳が握られていた。
ドックの階段に対決した丈次と原田、「今日の日を待っていたんだ。兄貴の顔がボスを殺せ殺せと叫んでいるんだ!」瞬間一味の拳銃が丈次を目がけて火を噴いた。潜んでいた千吉が立ち上がる。激しい撃ち合いの中、ドックの階段を駈け上る乾分たち。その時、今泉を先頭とする武装警官隊が到着した。逃げる原田、追う丈次。二人は暗い倉庫の中へ入った。その後を千吉が追う。千吉は丈次を助けるため自ら原田の銃弾を浴びて倒れた。千吉の最後の力が壁のスイッチを引き、倉庫の中は明るい光に照らされた。光の中に全身を露出した原田は、必死に逃亡を計るが、その背中に警官隊の銃火が集中する。蹌跟として歩み寄る丈次を抱くように迎える秋子。二人の抱擁を警官隊の背後で見守ったミサは、無言で淋しい後姿を見せて去っていった。

東から来た流れ者
(C)東映
ページの先頭へもどる
一般社団法人 日本映画製作者連盟・会員(4社)