人間山下泰文の生ける姿を追求しながら、大いなる日本の悲劇を衝く雄渾の大作。「ひめゆりの塔」に次いで各方面より注目を浴びた問題の野心作で、早川雪舟一代の名演技が見る者の心を搏って胸にせまる。
好評に応えて、侠勇純情の石松再びお目見得。今回は舞台を銚子に移して、又もや起る喧嘩とエロチシズムを背景に、好漢石松が示す正義の意気。名調子徳川夢声の解説を付録とした娯楽映画のナンバーワン。
或る時は鰐と呼ばれる麻薬ギャング、或る時は紳士の仮面を被って白昼の都会に住む冷酷無情の男、恐るべき麻薬患者の生態と、悪の跳梁におののく真人間の怒り、地獄迄もと追う、執拗な恋など、空前の迫力篇。
七つの顔をもつ名探偵多羅尾伴内久々の活躍。日本の財宝「片目の魔王」をめぐって次々に起きる連続殺人事件の謎。巧みな変装によって怪事件の真只中に飛び込み、得意の二挺拳銃を縦横に裁く、本格的探偵篇。
泥沼の中に咲いた哀愁の恋をめぐって登場する様々の人物を追いながら爛熟と頽廃のニ世相に喘ぐそれら人間像を一つの江戸市井風俗として描く、時代劇の新生面を拓く良心傑作篇。