1957(昭和32年)/5/7公開 96分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10157
配給:東映 製作:東映
富豪の少壮弁護士・藤代信之をめぐる絢爛哀婉の恋の女たち。混血児・普烈の悲恋、薄幸の女・お澄など、昭和初期の情緒の中に人生の真実の絆を描く。
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目に見えぬ戦争への不安があったが、表面にはまだ平和な人の心にも何かしらのゆとりを持っていた昭和六年の事である。親から財産を受継いだ藤代信之は「紀尾井町」と呼ばれ本業の弁護士よりも色事師、道楽者として有名だった。ある日、彼は取り巻き連と柳橋の料亭へ行くと、そこの女将おもんを知り一夜の夢を結ぶが、彼の心はむしろ同席した妹のお澄に強く魅かれていた。二人の仲は急速に進み、お澄にとっても彼は忘れる事が出来ない人となった。だが、ふとした機会に彼は彼女が父の仇ともいうべき実業家・窪井の妾である事を知り、酔いにまかせてお澄の家に赴くと彼女を激しくなじった。必死に取りすがるお澄を振りきり外に出た時、突然彼は吐血した。父ゆずりの胃癌、恐れていたものが遂にやって来た事を彼は覚った。信之は己れの死の近づくのを知ったのだ。ある日、かつて関係を結んだことのある不良少女・鈴江を種に、混血児の普烈が彼をゆすりに来たが、真心の尊さを説く彼の言葉に普烈は真の愛に目覚め、今は洋妾をやっている与禰子のもとに駈けて行く。そして、その愛故に普烈は与禰子の旦那マッケンゼンを誤って殺してしまった。彼は信之の励ましで自首して出る。信之は一生に一度の弁護を普烈の為にしようと決心した。一方、その頃お澄は胸を患い不治の床にあった・・・。