島原七万石のお世継ぎをめぐる黒い影を追い、父を裁いてまで大義を貫き、無責任な時の権力機構に挑む江戸っ子判官・遠山金四郎の活躍を、多彩なキャストと痛快無類なストーリーで描いたシリーズ第10作。
鶴田浩ニの東映入社第一回作となる本作は、終戦間近い動乱の満州を舞台に、拳銃と陰謀渦巻く砂漠都市でひとりの日本人青年医師が限りなきヒェーマニズムと祖国愛をもって繰り広げる愛と血と熱情のドラマである。
人間赤裸々の姿を、人の好い侠徒の世界に置いて眺めた大人の童話とも言うべき、諷刺と忍場を彩る東映の異色野心作。登場人物の総てが主人公であり見る者をまごころの世界にひき込む映画の抒情詩。